日刊工業新聞(2023年7月21日発行)にて当社代表取締役 加藤泰弘の主張記事が掲載されました。

日刊工業新聞 株式会社シゲン SDGs

SDGsは産廃管理で

 事業活動に伴って生じた廃棄物(産業廃棄物)は廃棄物処理法により、排出事業者が「自らの責任において適正に処理しなければならない」と規定されている。国連の持続可能な開発目標(SDGs)が時流となっている今こそ、電子マニフェスト(産業廃棄物管理票)によるペーパーレス化を促し、改めて排出事業者に責任の自覚を求めたい。

適正処理の「証」

廃棄物処理法は企業規模や業態を問わず、身近にあるコンビニエンスストアや街中の飲食店も対象となる。排出事業者にとって、産業廃棄物の収集運搬業者や処理業者が適正に処理した“証”となるのがマニフェスト。日本産業廃棄物処理振興センターに情報を集約する電子マニフェストがあるものの、排出事業者の多くが依然としてノーカーボン(感圧)複写紙のマニフェスト伝票を使っている。
 排出事業者は産廃排出時の控えとともに委託業者から返送されてくる帳票を5年間、保存する義務がある。建設工事現場などは1日でトラック何台もの廃棄物が出るため、その度にマニフェスト伝票を作成・交付し、返送されてくる帳票との照合・保存も必要で業務負担はかなりのものになる。

業務効率アップ

そんな背景もあり現実に目を向けると、大部分の排出事業者はマニフェストの発行から処分までの管理を全て業者任せで「適正に処理」されていることをきっちり管理しているは言いがたい。処理業者に産業廃棄物の処理を委託しても、排出事業者に処理責任があることに変わりはない。
 産業廃棄物の適正な処理は企業の社会的責任(CSR)の根幹であり、SDGs以前の問題だ。にもかかわらず大手排出事業者であっても、積極的に電子マニフェストを運用あるいは導入に動いている企業は限られる。電子マニフェストなら返送されてくる帳票の照合を待たずにリアルタイムで処理状況を確認でき、紙でありながらリサイクルに適さないノーカーボン複写紙のマニフェスト伝票も排除できるのだ。
 経営者は利益に結びつかない投資には後ろ向きだが、電子マニフェストの導入はコンプライアンス(法令順守)体制の徹底になり、産廃処理のトレースでリスクを最小化する。排出した産廃が不法投棄された場合、排出事業者も廃棄物処理法の措置命令の対象になり、社会的な評価を落としかねないリスクを認識する必要がある。

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